Dejavu -既視感-
初めて内部へ足を踏み入れました。
そして、そこにあったものは外観からは想像していなかった光景。(研究不足でした)
広い吹き抜けを持ち、装飾された柱や手摺、そしてステンドグラス。
この大正時代に建てられた商社ビルは素晴らしき内装を持つ洋風建築だったのです。

Nikon D700 + Nikkor Ai 24mm/F2.8S
重厚にデザインされた階段を胸の高まりと共に上がって行きます。

Nikon D700 + Nikkor Ai 24mm/F2.8S

Nikon D700 + Nikkor Ai 24mm/F2.8S
いや素晴らしい。
床の木のきしみ音ひとつとっても愛おしい空間が広がってます。

Ricoh GXR + A12 50mm F2.5 MACRO

Nikon D700 + Nikkor Ai 24mm/F2.8S
しかし、何と言ってもこの四角い吹き抜け。
これを見た瞬間に既視感と同時に脳裏に浮かんだものがありました。
そうです。軍艦島にある30号棟。
あれにそっくりです。
ちなみに30号棟は1916年(大正5年)築
そしてこの上野海運ビルは1913年(大正2年)築
わずか3年しか違いません。完全に時代がリンクしています。
調べてみると
このビルの設計は三菱合資会社の保岡勝也、施工清水組
一方、軍艦島の30号棟は竣工当時の資料が残っておらずはっきりとした設計者は分かっていません。
(グラバー商会・アメリカ人やフランス人設計士・他建造物を参考にした
自社技術者による設計など、諸説あり)
しかし考えてみるとどちらも同じ三菱合資会社(現三菱マテリアル)の所有。
年代的にも同じであり、設計者は違えどなにかしらの関わりがあったと考えるのが自然かも。
もっとも30号棟は住宅アパートでこちらは社屋。部屋の造りは全く違いますし
単にこの頃の建築デザインの流行もあるのかもしれませんが…
うーん、しかしこれは興味深い。

↑参考写真:現在の軍艦島30号棟
この30号棟ももし今も現役ならば、この上野ビルみたいな
雰囲気を持っていたのでしょうかね

Nikon D700 + Nikkor Ai 24mm/F2.8S
いやー遅まきではありましたが来て良かった。
やはりこの時代の近代産業にまつわる建築物の流れはオモシロイです
意外なところで繋がったりするし。
もしかするとその道専門で研究している人には既に常識の話かもしれませんが
自分の目で見て、そして調べて発見する。
それはそれで楽しいものですよ。


上野海運ビル

Ricoh GXR + A12 50mm F2.5 MACRO
近隣の物件はけっこう回っているようで
意外と行っていない箇所がまだあったりします。
この上野海運ビルもそのひとつ。
北九州市若松区の岸壁沿いに残る、大正2年(1913)建築の雰囲気プンプンな歴史的建造物です。
外巻きには何度か見てましたが内部には未だ入った事がなく、
この度あらためてじっくりと見てきました。

Nikon D700 + Nikkor Ai 24mm/F2.8S
実はこの上野海運ビル、建造時の名称は旧三菱合資会社(現三菱マテリアル)若松支店といいます。
その名の通り、三菱関連の社屋だったワケです。
このビルがある北九州の若松地区は明治半ば、全国屈指の石炭積出港として発展を遂げており
周辺の岸壁沿いには海運会社・商社が連なっていました。
この上野海運ビルはその当時の繁栄の面影を今に残す貴重な建造物となります。

Ricoh GXR + A12 50mm F2.5 MACRO
建物の一部には今もしっかりと三菱時代のマークが。

Ricoh GXR + A12 50mm F2.5 MACRO
煉瓦、鉄の格子、コンクリ…建築当時のものでしょうか。

Nikon D700 + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
シレッと廃墟カテゴリに入ってますが、実はこのビルは未だ現役。
ビルの名の通り海運会社の社屋であり、他にも複数の会社・店舗が
入居しています。

Nikon D700 + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di

Nikon D700 + Nikkor Ai 24mm/F2.8S
素晴らしい事にこのビルは現役でありながら
堂々と内部を見学する事ができます。(堂々は余計かw)
ビル内に店舗が営業している事と
2012年9月に国の有形文化財建造物として登録されており
見学者も絶えない様子。
映画のロケにも使われた事があるようです。


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