Epilogue -愛宕山ケーブル-

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
楽しかった探索もそろそろ終わりです。
活動限界時間が来ました。
これ以上いると再起動して暴走しちゃいそうです。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
名残惜しいですがお別れですね。
さよおなら。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
さて、日は落ちてしまっているので
下山途中に暗くなるのは確実
実は登山路が近くを通っているので
安全(?)にそちらで帰りましょう。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
・・・・・・・・・。
なんだこれ?ほんと暗いじゃん。やっべ。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
お地蔵さん、安全に下山できるように見守っててください!!
とお祈りしつつ下山しました。
以上、愛宕山ケーブル編オワリです。
あ、実はヘッドライトはちゃんと常備してました。
でも登山はちゃんと日暮れ前に下山しましょうね!(説得力ナシ?)
今回は最初から最後までほんと探索記となってしまった。
うーん写真とどっちがメインなのか・・・


地下の眠り -愛宕山ケーブル-

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
地下に降りた。
ケーブルカー稼動当時は機械室となっていた場所。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
分かってはいたがやはり何も残っていない。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
日本中の金属。それこそお寺の釣鐘までも
戦争遂行に必要な金属資源の不足を補うために回収していた時代。
歯車ひとつ残っていませんでした。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
戦時中に眠りにつき、二度と目を覚ます事のなかったこの遺構
果たして終戦となった事を知っているのでしょうか。


空虚の上階(2) -愛宕山ケーブル-

Fuji S3Pro + Nikkor AF50mm F1.4D
縄ばしごらしきものが残っていました。
まさか当時ものじゃないよね?

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
なかなかに年季は入っているのだけれど・・・

Fuji S3Pro + Nikkor AF50mm F1.4D
廃墟ではよく見る光景ですが
あらためて考えると建物の中なんですよね、ココ。
当たり前のように自生しています。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di

Fuji S3Pro + Nikkor AF50mm F1.4D
実はこの山頂駅から程近くにホテルの廃墟が存在し
そちらも訪問する予定だったのですが
日没によるタイムリミットが迫っていたため今回は断念。
メインの目的だったこの駅舎跡に集中して心中する事を選択しました。

Fuji S3Pro + Nikkor AF50mm F1.4D
でもちょっと引っ張りすぎて間延びしてきた感もある今回の物件
も少しお付き合いくださいませ。
(前半の登山編で引っ張りすぎたね・・・)
あと地下!地下があるのよ、今回!


空虚の上階 -愛宕山ケーブル-

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
階段があるという事は二階があるという事です。
もちろん、躊躇する事なくオジャマします。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
案の定、何もない空間が広がっていました。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
これくらい古い廃墟だと何も残っていないのが当然といえば当然。
残留物がある廃墟はもちろん撮り甲斐があるのですが
こういう何も残っていない空虚空間も好きですね。
まぁ要はどちらも好きって事w

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
二階には何があったのだろう?
レストランとか?駅ですからね。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
戦前、こういったケーブルカーは全国いたるところで設置されています
ちょっとした建設ラッシュだったのかな
ここと同じように、戦時中に不用線として廃止されたものも数多くあるようです。
少なくとも戦前の日本にはこういうリゾートを楽しむ余裕があり
今と同じように休日には家族で景観を楽しむ人々が沢山訪れていたのでしょう。
そう考えるとあの戦争で失ったものはやはり計り知れない。そんな気がします。


寡黙 -愛宕山ケーブル-
今回、どうもペラペラペラペラ語りすぎのような気がするので
今日は寡黙にいこうと思います
・・・・・・・・・・・・・・・・。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 70-300mm F4.5-5.6G

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
・・・・・・・・・・・・・・・・・。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
・・・・・・ぷはぁ!


歴史の狭間に -愛宕山ケーブル-
という事で何とか辿り着く事ができた山頂駅。
超誇大表現冒険活劇を書くのに一生懸命になって
この遺構の説明を殆ど説明してませんでした・・・

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
このケーブル線は山頂にある愛宕神社へ向かう参詣路線として建設されました。
1929年(昭和4年)に開業されています。
合わせてホテルや遊園地、スキー場が整備され当時は大いに賑わったそう。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
しかし戦争が始まり、戦況の悪化もあって
1943年(昭和18年)不用線として廃止に追い込まれます。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
そして終戦。
ケーブル線は二度と復活する事もなく
忘れ去られた幻の鉄道となったのです。

Fuji S3Pro + Nikkor AF50mm F1.4D

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
溶け出したコンクリが天井から落ちてきています。
かなり古いコンクリート廃墟でないと見られない光景。

Nikon D700 + Tamron 17-35mm F2.8-4 Di
コリャ、イイネ!
辿り着いた時の私はもはや瀕死状態でしたが
どうも倒れてる暇はなさそうです。
そそくさと撮影に入ります。


幻影 -愛宕山ケーブル-
超誇大表現スペクタクル冒険活劇ブログ「情景探索記」
こりもせず続きます。
今日はちょっと悪ノリしすぎです。うん、分かってる。
なにとぞ、笑って読み飛ばしてください。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
・・・・・おかしい。
事前情報で把握していたトンネルは全て越えたはず
しかし歩けど歩けど一向に到着地が見えてこない。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
もはや体力は限界に近づいているのを感じていた。
息は上がり、戦争映画でも目にする
銃に撃たれて肺に穴が開いた兵のようにヒューヒュー言っています。
目の前はチカチカし、次第に視界が真っ赤になってきました。
「ここまでか・・・。」
薄れゆく意識の中で、己の無力さと不甲斐なさを噛み締めていた
その時。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
!!!!!!!?
かすかに建物らしき影が見えた気がした。
これは崩れ行く私へ冥土のみやげにと
廃墟の神様が最後に見せてくれた幻影なのか!?
最後の気力をふりしぼって足を引きずりながら近づいていくと
徐々に徐々に・・・・確信も近づいてきてくれたのです

Ricoh GR Digital III
山頂駅、到着―。
妄想250%でお送りしました。ノ(´д`*)


葛藤 -愛宕山ケーブル-
ここは廃墟物件としてはまずまずの知名度。
しかし廃線マニア、鉄道マニアの方々にはけっこうな有名物件のようです。
戦前につくられたケーブル線がこういったカタチで残されているのは
やはりめずらしいのでしょう。
ほんと探検気分全開ですよ…

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
トンネル自体、そう長いものでもないので
先が確認できる分、比較的安心して通る事は出来ましたが
通る時にトンネルの壁や天井を観察しながら思うのは
当時の土木建築技術でよくこんな場所につくったなぁと。
私が思っているより当時はもっと優れた建築技術を持っていたのでしょうが
それにしても資材輸送手段は現代より劣るだろうし、人力に頼るものも多いハズ。
今では考えられない困難もあった事と思われます。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
素晴らしいと惚れ惚れして見ていたケーブル路線跡も
大きな変化もなく淡々と続いていると流石にけっこう辛くなってきます。
体力的にも余裕がなくなってきました。
ずっと同じカメラ、同じレンズで撮ってますが
実はリュックを下ろしてレンズチェンジする余裕すらなかったのです。
かなりの重量となっている機材が文字通り重く体にのしかかってきます。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
いや、でもこう言ってますが普段から山登りしている人達からしたら
屁でもないレベルかもしれません。多分ね。
しかし会議に遅れそうになり会社の階段を駆け上がっただけで
息が上がっている私にはかなりこたえてくるレベル。
この時は同行者もいたのですが、とっくの昔にお互い言葉を発する事もなくなり
押し黙ったまま、ただ黙々と足を動かします。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
「何故、貴方は登り続けるのですか?」
「・・・・それはそこに廃墟があるからですよ。ただ・・・それだけです・・・。」
黙々と登りつつそんな言葉のやりとりを頭に連想(妄想)して
フッと笑みを浮かべながら登り続けます・・・。←かなりヤバイ状態

またしてもトンネルだ・・・。
しかも中は暗い。出口に光が見えない。
ここもまた天井が崩落しているようだ。
もう一度トンネルを迂回して道なき道を進んでいきながら
意識が遠のいていくのを私は感じた。(嘘


ケーブル跡を辿って -愛宕山ケーブル-
戦前、京都の山中に作られた観光ケーブル線。
戦中、物資不足の為に廃止となったが
そのケーブル線と山頂駅跡が今も人知れず眠っている―。
この記述を見ただけで私の心は大きく動かされました
こ、これはとてつもなくドラマティック!
しかも当時は東洋一長いケーブル線としてその名を馳せていたという。
行きたい!見たい!!
しかしどうやら色々と調べてみると、流石に東洋一を誇る長さというだけあって
かなり本格的な登山となりそうな雰囲気。んー果たして登れるのか???
ちょっとダケ悩みましたが、
「まぁなんとかなるっしょ、今までも何とかなったし。」
という事で探索決定。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
訪問当日、到着したのは午後2時過ぎ。
所要予定時間を考えると日没までに下山できるかギリギリのところ。
しかし悩んでるヒマはない。とりあえず登るぜよ!
ん~・・・思ったとおり素晴らしいケーブル跡が延々と続いています
こんな素晴らしい遺構を辿りながら登山できるとはまったくもって幸せである。
目的地である山頂駅まで興味が尽きる事なく登れるだろうと思っていました。
そう、この時は。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
廃トンネル~♪
これまた素晴らしい景観を生み出してるトンネルです
よーし、パパ、廃トンネルの中を通っちゃうぞ~♪(誰がパパやねん

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
おそらく架線柱でしょう。
ところどころ基礎が残っていました。

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
・・・・・・・・・・・・。
登り始めて1時間が経過しました。
一向に終わりが見えません。
途中、崩落していて道が塞がれているトンネルもあり
迂回して山越えした事もあって体に疲れが蓄積してきます。
うーん。こりゃ予想はしてましたがけっこう手強そうです。


Prologue -眠る痕跡を求めて-

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di

Fuji S3Pro + Tamron 28-75mm F2.8 XR Di
ある日、ひとつの記述に興味を持った。
それは関西方面の山中に今も眠っている、とある遺構。
私は廃墟に対し、被写体としての魅力と同様に
その遺構が持つ時代背景にも強く惹かれます。
ドラマティックな時代背景を持つ遺構には、
より高い写欲が沸いてくるのです。
撮影をしつつ、過去に思いを馳せる。
それが楽しい。
日本という国家を形成した由緒ある土地
そこからさほど遠くない山中、しかし訪れる人はそういないであろう場所。
その遺構は確かに今も存在していました。


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