目に映る姿は -廃村寒川-
途中、中座しつつもタラタラと続けてきた廃村寒川。本日でラストです

Fuji S3Pro + Nikkor Ai 24mm F2.8S

Nikon D700 + Nikkor AF50mm F1.4D
廃校というものは普段目にする廃墟の中でも
特に様々な思念が詰まっている気がします
やはり大勢の人が過ごした場所だから

Fuji S3Pro + Nikkor Ai 24mm F2.8S
時々、シャッターを切る手を止めては
残されたモノに目を向け、思いを馳せる事もしばしば。

Nikon D700 + Nikkor AF50mm F1.4D
大勢の児童がここで笑い、遊び
たまにはケンカして泣いた。

Fuji S3Pro + Nikkor Ai 24mm F2.8S

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 24-120mm F3.5-5.6G

Fuji S3Pro + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO
ここで撮影をしている途中、ひとりの初老の男性と出会った。
集落のもと住人の方かと思ったがそうではないと言う。
詳しくは聞かなかったが、この廃村に何か感じて訪問していたのだろうか
こんな山奥まで。
この場所にはたしかに今の日本にはない風景が残っている。
男性の目には私には見えない当時の日本の姿、
男性が少年時代を過ごした時代の姿がこの集落跡を通して見えていたのかもしれません―。


此処に在る限り -廃村寒川-

Fuji S3Pro + Nikkor AF50mm F1.4D
学校らしい残留物は少なめ…
児童の声が聞こえない学校は思い出とともに
今日も風化を続けています

Fuji S3Pro + Nikkor AF50mm F1.4D
森の中の学校らしく、窓からは豊かな自然と光が流れ込んできます。
児童たちが見ていた風景も今と同じ光景だったのでしょうか

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Fuji S3Pro + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO

Nikon D700 + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO
この集落跡には今でも時折かつての住人達が
存在を確かめるように戻ってきているようです。
ここを学び舎として巣立っていった子供達は
この姿を見て何を思うのでしょう。
母校がなくなるというのはやはり悲しいもの。
たとえ風化しようと出来る限り此処に存在し続けてほしいものです。


Restart
廃村寒川の途中ですが、また中座します。ゴメンナサイ
今日でこのブログを立ち上げてから早いもので3年が経ちました。←ちょっと忘れてた
1周年の時は総集編、去年の2周年の時は(自分で)ケーキを買ってきて記事にしましたが
今回は正直なにも準備してなかった…(∀`*)ゞ
でもここまで続けるモチベーションが維持できてるのは
このブログを見に来ていただいてる方、コメントを頂いてる方々みなさんのお陰である事、
これは間違いないです。本当にありがとうございます。

Nikon D70 + Nikkor AF-S18-70mm F3.5-4.5G
本日はちょっとだけ自分語りを失礼します
そもそもこのブログは
それまでに撮り貯めてパソコンの肥やしになっていた廃墟写真を
ブログでもやって人に見てもらったらどんな反応があるかな?
と、ちょっとしたきっかけと共に思ったのが始まりです。
それから3年、ブログを続けていて私の撮影スタイルにも変化がありました。
それまでは撮った写真をどこか表に出す事も殆どないわけですから
当然ながらただ自分が納得できる写真が撮れればいいというスタイル。
それがやがて他人に見てもらう、ブログで発表するという前提も加わり
自然と撮るモチーフ、撮り方にも変化が生まれました。言い方を変えれば色気が出てきて
「ウケ」を気にした作品作りになった感は否めない。
最初の頃は(たまに今でも)その事自体にちょっと葛藤があったり
自分の作風に疑問を持ったりする事もありました。
まぁでも自分が撮りたいと思うモノを撮りたい風に撮ってる事には違いないし
結果的に自分のスキルアップに繋がるのならばそれもありかなと思ったり…。(繋がってるかは疑問w)
ちなみに今日の写真は実は私が初めて行った廃墟で初めてシャッターを切った1枚。
どこをどう撮ったらいいかも分からず、とりあえずシャッターを切りました。
殆ど試し撮りのようなカットですが、それでも初めての1枚には違いない。
まぁ大した履歴でもないのですが、この1枚から始まって様々な廃墟に行く事になりました。
とりあえず、まだ廃墟には行くつもりでいます。
つらつらと自分語り、失礼しました。
どうぞこれからも宜しくお願いします。


かつて在ったはずの光景 -廃村寒川-

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
オジャマシマスデス
うーん小規模とはいえ、やはり木造校舎の佇まいですね~

Fuji S3Pro + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO
始業開始のベルを鳴らしていたのでしょうか
30年以上鳴ることのないベルは錆び付いたまま

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
ここはかつての職員室?
さほど広くない部屋には殆ど何も残されていませんでした。
壁の染みが長い時間の経過を物語っています。

Fuji S3Pro + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO

Fuji S3Pro + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO
表に面したこの部屋から
先生たちは元気な児童の登下校を眺めていたのでしょうか?
どこにでもある、ありふれた光景が
かつてはこの山奥の学校にも存在していたのでしょう


石段を登った先 -廃村寒川-
寒川集落、続きです。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
奥へと続く集落内の石段を登っていきます。
古い石垣も雰囲気ありますね
おそらくもう一つ私が探していた場所がこの先にあるはずです。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
阿修羅像?なのかな?

Fuji S3Pro + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO
ともあれここが目的の場所である事は間違いなさそうです。
オブジェ的なものがあちらこちらに見られます。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
寒川小中学校。
一時は250人以上の住人がいた集落にはやはり学校も存在していました。
最盛期には小学生だけで100人を数えたそうです。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
学校自体は1978年に廃校となったようですが
校舎は雰囲気ある佇まいで今もしっかりと残っていました。


KTG.BIZにシリーズ掲載する事になった件
廃村寒川の途中ですがちょっと小休止。

福岡県北九州市に小倉経済新聞と提携している
『KTQ.BIZ(キタキュービズ)』という情報誌があります。
その中で「工場シリーズ」と銘打って今月配布されている11月号より
私の北九州工場写真をシリーズ掲載していただく事となりました。
まったくもって恐れ多い話です。
北九州市は昨年あたりから市をあげて工場夜景観光をバックアップしています
知名度アップにも微力ながら役に立てれば幸いですけどね

配布エリアは北九州市内・遠賀郡・中間市・直方市・行橋市・京都郡です。
北九州だと魚町銀店街などで配布されています。主なJR駅にもあるようですね。
(全部で120ヶ所で配布されているようですが他は未確認です。スミマセン)
北九州近隣の方限定となりますが、機会があったら見てあげてください (´∀`*)ポッ
毎月28日発行です


日本人である事 -廃村寒川-

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
奥の方へ歩いていくと比較的状態のいい廃屋がありました

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
と思いましたが、けっこうキテますね
カタチは保っているものの、中はかなり退廃しているようです。

Fuji S3Pro + Nikkor AF50mm F1.4D
主が家を出る時はすべて障子が張られていたのでしょうか
当然ですが今は面影は残っていません。
長い時間の風雨に耐え切れるわけもなく。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
家の中はほとんどがらんどうの状態なのに
なぜかテレビだけは残っていました。
廃村となった時期からしてみてもかなり古いタイプですね。
当然ガチャガチャチャンネル。兄弟喧嘩の要因ナンバーワン
激しく回しすぎて親に怒られる。これもまた原因ナンバーワン

Fuji S3Pro + Nikkor AF50mm F1.4D
ちょっとだけマジメに。
日本人には本来、滅びていくものや儚いものに対して
美徳を感じる部分がある事は否めないと思います。
たとえば特攻精神に対して心の奥にロマンチズムを感じる人も多いのではないのでしょうか?
(あくまで喩えです。当然奨励しているワケじゃありませんが)
古い話になりますが切腹にしてもそう。
今の日本人が当時と同じ精神論を持っているとは思いませんが
日本人としてのDNAにはそういった感情が今でも残っている。そう感じます。
外国人にはあの特攻精神は到底理解できないと聞きますし。
話がそれましたが外国にも古くから廃墟を鑑賞する文化があります。
ドイツのフリードリヒみたいに廃墟をモチーフとして取り上げる画家もいました。
しかし昨今、日本において廃墟鑑賞を好む人が廃墟に感じている感情というか退廃感は
欧州のそれと一緒なのかな?とふと疑問に思いました。
もしかすると廃墟写真を目にして湧き出す感情は欧州人が感じている廃墟観と違い
日本独特のものであるのではないかと。


浸食、そして共存 -廃村寒川-

Fuji S3Pro + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO
人がいなくなった今も変わらず廃村の道を照らす朝日

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
これらの家屋もいずれはすべて崩壊し
自然に飲み込まれる運命なのか

Fuji S3Pro + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO

Fuji S3Pro + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO

Fuji S3Pro + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO
主のいない家屋と共存する。
朽ちていく姿と対照的に若々しくも見える自然の姿が
いつもより印象的に目に映った


和式退廃美 -廃村寒川-

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 24-120mm F3.5-5.6G
古民家と言っても差し支えないでしょう
建てられてからけっこうな年月が経っていそうな廃屋が並んでいました。
比較的、形を保っているものから、もはや原型を保っていないものまで様々。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
変な言い方ですが
これぞニッポンの廃墟という感じがします。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
僅かばかり残った生活の痕。

Fuji S3Pro + Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO

Fuji S3Pro + Nikkor AF50mm F1.4D
やはり日本家屋の廃墟は独特の湿っぽさがありますね
しかし、これはこれで独特の退廃美というか
日本文化を偲ばせるものがあるようにも思います。
そう。洋館廃墟では出せない雰囲気とでも言うのでしょうか。
(続)


集落へ続く道 -廃村寒川-
集落が山奥にあるという事は始めから分かっていた。
しかしいざ行ってみると山中に存在していたという事をより実感させられる。
車を集落に向け山奥へと走らせていると、みるみるうちに道は狭くなり、そして荒れていった

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 24-120mm F3.5-5.6G
帰りのガソリン残量に不安を覚えたため
すぐ近くまできたところで車を止めて
残りの集落への道を歩いて行く事にした。
こんな山奥でガス欠にでもなったらシャレにならない

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 24-120mm F3.5-5.6G

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 24-120mm F3.5-5.6G
しかしあと少しと思っていた集落への道は思いのほか遠く
結局小一時間は歩いただろうか。
しかも途中、一緒にいた友人が崖を駆け上がりながら
逃げていく二匹の猪を目撃。
周囲への警戒に神経を尖らせながら進んでいった。
何かあったらと三脚の脚を伸ばし臨戦態勢のつもりでいたが
実際に猪に突っ込んでこられたらとても無事に済むとは思えない。

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 24-120mm F3.5-5.6G
カーブミラーでも猪の姿がないか確認w

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 24-120mm F3.5-5.6G

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 24-120mm F3.5-5.6G
やがて出迎えてくれた集落の姿は
すでに激しく崩落した家屋だった。

Nikon D700 + Nikkor AF-S VR 24-120mm F3.5-5.6G
奥には一体なにが待ち受けているのか。
ひとけのない集落跡に導かれるように
私はどんどん奥へと進んでいく。
(続)


限界集落 -廃村寒川-
65歳以上の高齢者が住民の50%を超えた集落のことを指す言葉であり
その多くが集落存続の危機にさらされています。
いま現在も10年以内に消滅する可能性がある集落が日本全国で2,000以上
あると言われているのです。
1989年、最後の6世帯13名が離村し
廃村となった集落のひとつが宮崎県の山奥深くに眠っています。
「廃村寒川」
いつしかそう呼ばれるようになった、集落跡。
たしかにそこには人々が長きに渡って生活を営んだ跡がありました。

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX

Fuji S3Pro + Nikkor AF50mm F1.4D

Fuji S3Pro+ Tamron SP AF90mm F2.8 Di MACRO

Nikon D700 + Nikkor AF50mm F1.4D

Nikon D700 + Tokina AT-X 16-28mm F2.8 PRO FX
実はこの寒川集落は「寒川」というタイトルでドキュメンタリー映画が
作られており、限界集落の問題を提起した映画として知られています。
存在を知ってから、いつか訪れてみたいと考えていた場所。
同じ九州とはいえ私が住むところからは遠く離れたこの場所へ
その日、静かに足を踏み入れました。
(続)


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